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令和4年度 施政方針

2022年02月09日掲載

令和4年度の施政方針を掲載しています。

1 はじめに

 令和4年度の一般会計予算を始めとする予算関係議案の御審議をお願いするに当たりまして、私の市政運営の基本的姿勢と重点施策を申し上げます。

 全国各地において非常に感染力の強い新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」が大流行しております。
静岡県も今月20日まで、まん延防止措置の適用期間となっております。
 このような状況の中、市民の皆様におかれましては、日頃から感染拡大の防止に御協力いただき、心から感謝申し上げます。
 昨日からは、本市では、感染拡大防止の切り札とされる3回目のワクチン接種の集団接種が市民体育館で始まりました。
 また、富士宮市医師会の御理解と御協力によりまして、市内各医療機関での個別接種も行われます。
 まずは一日も早く、市民の皆様が安心して生活できる日が来るよう、最善の努力をしてまいります。

 令和3年度は、1年を通して、新型コロナウイルスの感染拡大防止と市民の暮らしを守ることを最重要課題に、様々な対応策を講じてまいりました。
 令和4年度につきましては、新型コロナウイルスへの対応を最優先に進めていくことはもちろんですが、厳しいコロナ禍においても、必ずや新型コロナウイルスに打ち克ち、本市にとって更なる市政発展の契機とするべく、新たな取組にも積極的に着手してまいります。

 さて、そのような中、今年、富士宮市は市制施行80周年を迎えます。
 市制施行80周年をお祝いする各種事業を通して、先人の方々のこれまでの御尽力に感謝し、安全・安心に暮らせる未来を次の世代につなげていくという思いを市民の皆様と共有していきたいと思っております。
 80周年記念事業としましては、6月1日の市制施行記念式典や富士山の日のオーケストラコンサート、東京2020オリンピックのスペイン空手メダリストとの交流事業を始め、様々な催しを予定しております。さらに、将棋のタイトル戦の誘致に向け、開催会場候補地にエントリーいたします。
 冠事業を含む80の記念事業を計画し、市民の皆様とともに本市の80周年を盛り上げていきたいと思っております。

 また、令和4年度は、第5次富士宮市総合計画後期基本計画の初年度であり、富士宮市の確かな未来を次の世代に確実につなげていくための大事なスタートダッシュの年でもあります。
 将来都市像「富士山の恵みを活かした 元気に輝く国際文化都市」の実現に向けて、スピード感を持って事業実施につなげていきたいと考えております。
 凛とそびえ立つ霊峰富士、世界遺産富士山は、何にも勝る富士宮市の財産であります。
 富士山は、私たちに多くの恵みをもたらし、様々なことを教えてくれる、そして、私たちをいつも温かく見守ってくれる、かけがえのない存在であります。
 静岡県旧清水市出身の歌人 野村清氏の短歌で、富士山百人一首に掲載された「日本の哲学であり神である 大富士の山拝がむわれは」という歌があります。この歌は、富士山の偉大さを表現したものです。
 古から現在に至るまで、ずっと人々を魅了し続ける富士山。
 私は、市民の皆様に、富士山のあるまちに住むことに大きな誇りをもっていただきたいと思っております。
 そして、私自身、この富士山を守り続けることの責務を果たしていくために、これからも広い視野と高い志をもって、市民が心豊かに暮らせるまちづくりを目指して、市政運営に邁進する決意を新たにしております。

2 市政運営の基本的姿勢

 我が国の経済は、新型コロナウイルスによる厳しい状況が続いております。感染症の動向が国内外の経済に与える影響や金融資本市場の変動等の影響にも注視する必要があります。
 政府においては、景気下振れリスクに十分に注意しつつ、足元の経済の下支えを図るとともに、感染が再拡大した場合にも国民の暮らしや雇用、事業を守り抜き、経済の底割れを防ぎ、新しい資本主義を起動することで、「成長と分配の好循環」の実現を目指すとしています。
 令和4年度の国の予算編成における基本的な方針では、成長を生み出す4つの原動力として、「グリーン」、「デジタル」、「地方活性化」及び「子供・子育て」への予算の重点化を進めるとしていることから、今後も、国の動向を注視し、情報収集に努め、適宜適切に対応してまいります。

 それでは、令和4年度の市政運営の基本的姿勢について申し上げます。
 まずは、新型コロナウイルス対策についてであります。
 令和4年度は、新型コロナウイルスに打ち克ち、市民の命と生活を守ることを第一に、柔軟かつスピード感をもって、そしてきめ細かく、コロナ禍の危機を乗り越えていく施策を実施してまいります。
 具体的には、感染拡大防止対策として、3回目の新型コロナウイルスワクチン接種を加速させるとともに、無症状者に対するPCR検査費用への助成も継続します。
 また、停滞している地域経済を下支えするために、プレミアム率50%のプレミアム付き商品券の発行を、昨年、一昨年に続き実施するとともに、需要が落ち込んだ観光分野に対する支援や経済変動対策貸付資金を利用する中小企業等への利子補給も継続します。
 なお、仕事や住居を失うケースもあることから、生活困窮者に対しても、国や県、富士宮市社会福祉協議会などと連携し、しっかりと支援してまいります。

 本市は、令和3年5月にSDGs未来都市に選定されました。
 地方創生に向けたSDGsの推進につきましては、引き続き、市民や企業等への普及啓発に努めるとともに、地域の課題解決に向けた取組にも着手してまいります。
 また、ゼロカーボンシティやDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、子育て支援や自転車活用などの重要施策についても、本市が掲げる“富士山SDGs”のもと、「今に活力を、そして次につなぐ」を意識する中で、積極的に推進してまいります。

 第5次富士宮市総合計画では、将来都市像にふさわしい魅力あふれるまちづくりを進めるために、総力を挙げて取り組むべきテーマを「3つの重点取組」として掲げております。
 それでは、令和4年度における「3つの重点取組」について、具体的に申し上げます。

 取組1は、「恵み豊かな未来づくり ~世界遺産のまちづくり~」であります。
 静岡県富士山世界遺産センターや富士山本宮浅間大社周辺を中心とした中心市街地の整備、白糸ノ滝や村山浅間神社などの各構成資産の整備、新たなスタイルによる観光誘客の促進、富士山の景観や歴史・文化の継承などの施策を、引き続き進めてまいります。
 特に、富士山の湧水を源泉とする神田川がつなぐ静岡県富士山世界遺産センターから富士山本宮浅間大社までの周辺地域や音止の滝上流をなす白糸ノ滝周辺地域については、庁内関係部署で構成する『(仮称)「清流の美」「空間の美」「庭園の美」推進会議』を設置し、世界遺産富士山にふさわしい美しく品格のあるまちづくりの推進に向けた方策を検討してまいります。
 この事業は、富士宮市が、今後大きく様変わりする一大事業であります。しかし、一朝一夕にできるものではなく、何よりも関係する地権者の御理解と御協力なくしては成し遂げられません。
 粘り強く丁寧に、そして、決して諦めずに積み重ねていく事業であるとの覚悟を持って取り組んでまいります。
 そのほか、富士山の玄関口である富士宮駅前広場及びその周辺施設について、景観とユニバーサルデザインに配慮した快適で機能的な空間の創出に向けた設計に着手します。
 また、民間施設の閉鎖により、現在、本市において課題となっております多くの人が集い、交流できる場となる大型イベント会場について、施設の確保を検討してまいります。
 観光については、E-BIKE(高性能電動アシスト付き自転車)と富士山のもつ魅力を体感できるエコツーリズムやカルチャーツーリズムにクローズアップした新しい観光施策を推進してまいります。
 国際化の取組については、引き続き、提携する4つの都市との都市交流を始め、中学生の英語圏派遣や中高生の友好都市への派遣、教職員の英語圏での研修を実施します。
 また、後期基本計画から重点プロジェクトに追加する「自然環境と共生した持続可能なまちづくり」では、ゼロカーボンシティの実現を目的に策定した「富士宮市ゼロカーボン推進戦略」に沿って、省エネルギー対策の推進や地域エネルギーの地産地消への取組を進めます。

 取組2は、「いきいき元気な未来づくり ~安全・安心なまちづくり~」であります。
 市民の生命と財産を守るため、多様な災害に対する公共施設やインフラの強靱化対策として、公共施設の耐震補強工事、道路・橋りょうの長寿命化工事、市街地治水水門改修工事などに、継続して取り組んでまいります。
 また、多額な経費が必要となる公共建築物の長寿命化につきましても、短期保全計画に基づき、計画的かつ効率的に実施します。
 そのほか、市立病院を核とする地域医療体制の確保と充実、地域コミュニティへの支援強化などにも、力を注いでまいります。
 公共交通に関しては、新たに芝富地区及び稲子地区で宮タクのエリア拡大の実証実験を行い、地域の生活交通における更なる利便性の向上を図ります。
 多文化共生社会の実現については、誰もが安心して住み続けられるコミュニティの充実を図るため、「やさしい日本語」の普及のための講座を始め、外国人への理解に向けた取組を進めます。

 取組3は、「誰もが輝く未来づくり ~人口減少を克服するまちづくり~」であります。
 子育て支援については、大宮保育園内において、新たに病児保育を開始するとともに、子育てに不安や負担感を抱える保護者を支援するため、家事・育児等のサポートや子育て応援ヘルパー等の派遣を継続します。
 さらに、児童の「居場所・遊び場」の拠点施設として、令和4年5月に“地域子育て支援センターおおみや”を併設した富士宮市立児童館「らっこ」を開館します。
 また、子育て世代を始め、市民が憩う場の創出に向けて、遊具の設置など都市公園を始めとする公園の整備にも、引き続き力を注いでまいります。
 女性の活躍推進については、女性応援会議で広く意見を聴き、地域の実情に即した女性の活躍を応援するための施策を進めるとともに、ベビーステーションの利用しやすいきっかけづくりを行うなど、事業者等とも連携して取り組んでまいります。
 さらに、社会における女性活躍の機運醸成を図るための講演会やセミナー等を開催し、女性のスキルアップに対する支援を行います。
 中小企業等への支援策としましては、富士宮商工会議所、芝川商工会、富士宮信用金庫、富士宮市の4者の組織連携による多面的な総合相談窓口である「ビジネスコネクトふじのみや」の更なる充実を図ります。
 具体的には、中小企業事業者が抱える経営、販路開拓、事業承継などの様々な課題に対する解決策の提案を行うとともに、創業を希望する人のスタートアップを支援します。
 企業誘致・留置への取組としましては、人口減少社会への対応や更なる産業基盤の強化に向けて、「ひと」、「しごと」を呼び込むための民間による工業団地造成に向けた取組やサテライトオフィスの誘致など、市内企業の事業拡大を支援します。
 移住・定住に向けた取組としましては、特に若い世代にターゲットを絞った誘導策を実施します。
 また、関係人口の創出に向けて、首都圏シティセールス推進とも連携する中で、豊かな自然を生かしたワーケーションを進め、まちの魅力を効果的に発信します。
 さらに、新たな地域活性化策として、首都圏からの距離の強みを生かしたコワーキングスペース整備への支援を始めるとともに、地域間交流の促進の起爆剤となる地域おこし協力隊を募集します。
 市民サービスの向上につながる取組については、窓口とオンラインの双方の手続で、手数料支払におけるキャッシュレス決済を導入するほか、マイナンバーカードを活用して図書館で本が借りられるようにするなど、行政のデジタル化を推進します。
 そのほか、地図情報システムの令和5年度からのインターネットでの公開開始に向けて、各種データの整備にも着手いたします。

 孔子の言葉に、「近きもの悦び 遠きもの来る」という言葉があります。
 これは、“市民が満足する施策を行えば、その噂を聞いて遠くからも人が来るようになる”と言い換えることができます。
 私が、常々口にしております「住んでよし 訪れてよし」、「生んでよし 育ててよし」、「学んでよし 働いてよし」、「出会ってよし 結ばれてよし」の4つのまちづくりを実現させるべく、令和4年度も、引き続き、市民の皆様の幸せを願い、全力で市政運営に取り組んでまいります。

 それでは、以下、第5次富士宮市総合計画の7つの基本目標に沿って、令和4年度重点施策の大要を申し上げます。

3 令和4年度重点施策

 最初に、(1) 富士山の自然と調和した循環力があるまちづくり(環境)について申し上げます。
 地球環境保全の総合的かつ計画的な推進については、本年1月に策定した「ゼロカーボン推進戦略」の施策や取組を、市民や事業者とともに「オール富士宮」で進め、2050年二酸化炭素排出量実質ゼロを目指します。
 富士宮市地域循環共生圏推進協議会では、地域資源を活用した事業の創出や事業化に向けた支援及び仕組みづくりを進めます。
 また、脱炭素社会、循環型社会、自然保全などについての環境教育や環境学習を学校のニーズに合わせて企画し、次世代の人材育成も見据えた地球温暖化防止活動につなげます。
 エネルギー施策については、電気自動車やプラグインハイブリッド車の購入促進を図るため、創エネ蓄エネ機器等設置補助を拡充します。
 循環型社会の形成及びごみ処理対策としましては、令和4年度からスタートする一般廃棄物処理基本計画に基づき、ごみの減量化及び資源化に向けて、市民、事業者、行政が一丸となって「ごみダイエットプロジェクト」に取り組みます。
 清掃センターの効率的な維持・管理については、新たに焼却施設を建設するのではなく、長寿命化計画に基づき適切な維持管理を行うため、焼却施設灰出コンベヤ室を更新し、施設の安定的な運転を確保します。
 また、落じん灰を回収して、資源化する取組も開始します。
 上水道事業では、地震などの災害に強い水道インフラを構築するため、老朽管の布設替え及び主要水道施設の耐震化工事を計画的に実施するとともに、新たな水源開発を継続して進め、配水系統の機能強化及び水の安定供給に努めます。
 下水道事業については、汚水処理施設整備計画による整備の促進、ストックマネジメント計画に基づく施設の長寿命化対策を実施し、将来にわたり安定的な事業継続を図ってまいります。

 次に、(2) 富士山の麓から創造力と活力がみなぎるまちづくり(産業)であります。
 農林水産業の振興については、地域農業の担い手から経営を継承し、発展させるための取組を支援します。
 畜産競争力対策では、収益率向上及び環境改善に向けた畜産業の施設整備に対する補助を行います。
 また、国からの森林環境譲与税なども活用して、森林の整備及び林道等森林施設の改良整備を進めます。
 食のまちづくりの取組としましては、食の魅力や地域の食に関する意見交換を行う“第1回フードバレーサミット”を本年11月に開催します。
 また、中小企業振興施策では、引き続き、中小企業等の経営基盤の強化に取り組むとともに、市域の元気な商工業等の姿を内外に発信し、持続可能な地域産業の振興を図る“富士宮商工フェア”を実施します。
 商店街活性化の施策については、商店街イベントなどへの助成や商店街の空き店舗等への出店者に対する補助を行い、創業を支援します。
 住宅リフォーム宮クーポン事業については、子育て世帯の支援や三世代同居を促進するメニューを備え、継続して実施します。
UIJターンの促進については、地域の元気な企業の情報を幅広い世代にアピールするとともに、首都圏などからのUIJターン希望者の就業を支援します。
 観光施策については、市制施行80周年に花を添えるべく、富士宮まつりを盛大に開催いたします。
 さらに、本市には、源平合戦から鎌倉幕府の体制確立までのゆかりの地が多く残っていることから、現在放送中のNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を契機とした広域的な周遊促進を図り、歴史・文化の継承と地域振興につなげてまいります。
 そのほか、観光基盤整備については、北部の観光施設の拠点である道の駅朝霧高原の施設改修を行い、利用者の利便性の向上と更なる観光誘客を図ります。
 また、富士登山観光については、県が建設予定の富士宮口五合目来訪者施設の整備スケジュールを確認しながら、当面の間の富士宮口五合目の休憩所等の環境整備を実施してまいります。

 次に、(3) みんなの幸せと潤いを創出するまちづくり(健康福祉)であります。
 新型コロナウイルス対策については、3回目となるワクチン接種を着実に進めるとともに、感染に関して不安を抱える市民等からの相談に対し、検査等の案内を行います。
 また、新型コロナウイルスへの感染が懸念される無症状者を対象としたPCR検査への補助についても、継続して実施します。
 子育て支援につきましては、多胎妊婦に対して、追加で受診する妊婦健康診査に係る費用を助成し、多胎妊婦の経済的・心理的負担を軽減し、安心して子育てできる環境を整備します。
 健康づくりについては、あらゆる世代が、身近な地域で取り組めるラジオ体操を奨励するため、自治会に対する奨励金の交付を継続するとともに、自転車を活用した健康づくりにも取り組みます。
 地域医療に対する取組については、休日・夜間の一次救急医療機関である救急医療センターの安定的運営を確保するほか、二次救急医療機関の医療機器整備に対する助成を行います。
 地域福祉に対する取組については、市制施行80周年記念事業として、富士宮市社会福祉大会を本年7月に開催し、社会福祉功労者への表彰や記念講演を通じ、市民が社会福祉について自らの役割を確かめ合う機会につなげます。
 また、地域のネットワークづくりと地域を担う人づくりに努めるとともに、産・官・学・民との協働による地域福祉活動の推進を図ります。
 高齢者福祉については、周囲とのコミュニケーションの維持や交流機会を確保し、活動的な生活や積極的な社会参加ができるよう、聴力が低下した高齢者を対象とする補聴器の購入費用の助成を、新たに始めます。
 そのほか、全ての人が地域で暮らし続けることができる共生社会の実現に向けて、富士宮市社会福祉協議会と連携し、市民の権利擁護を図るための成年後見制度に関する相談や周知・啓発を行います。
 さらに、権利擁護ネットワーク等の機能強化、支援チームのコーディネートに向けた取組を進めるとともに、成年後見の担い手となる市民後見人の養成や育成など、成年後見制度の強化及び利用を促進します。
 また、第9期介護保険事業計画の策定にも着手します。
 障がい者福祉に対する取組については、障がいに対する正しい知識の普及のため、福祉団体や市民と連携し、広報等を通じて啓発活動に努めるほか、第8期障がい者福祉計画などの策定にも着手いたします。

 次に、(4) 郷土に学び郷土を愛する心豊かな人を育むまちづくり(教育文化)であります。
 学校教育の充実については、「富士山を心に、夢をもって生きる子ども」の育成を目指して、「確かな学力」、「徳のある人間性」、「たくましい体」の調和の取れた子どもの育成に努めてまいります。
 「一人一人の子どもは、かけがえのない存在である」という考えを根底に置き、教育は、「子どもたちにとって明るい未来を実現するための営み」として捉え、学校教育の充実を図ります。
 教育分野におけるICTの利活用推進については、1人1台端末の導入によって期待できる「個別最適な学び」と、これまで取り組んできた「協働的な学び」の一体的な充実を図ることで、確かな学力を培うことを目指します。
 また、義務教育の9年間を見通した体系的な情報教育を進めることにも配慮し、子どもの情報活用能力を高めるとともに、情報モラル教育の充実を図ります。
 そのほか、富士山学習や各教科等で進めてきた持続可能な社会の担い手を育むESD教育についても、引き続き推進してまいります。
 自立した一人の人間として人生を他者とともにより良く生きる人格を形成することを目指し、特別の教科道徳を要として、学校の教育活動全体で子どもたちの心を育てます。
 いじめについては、富士宮市いじめ防止基本方針に従い、未然防止、早期発見・早期対応、当事者の立場に立った対応に努めます。また、不登校の問題についても、各学校で作成した不登校初期対応マニュアルを活用し、組織的に対応するとともに、一人一人の子どもに応じた支援を行います。
 学校での新型コロナウイルス感染防止対策としましては、新たに検温・健康観察アプリを導入します。
 学校施設の整備に関しては、芝川中学校の校舎改築工事に着手するとともに、東小学校管理教室棟及び富士見小学校屋内運動場の改築に向けた実施設計を行います。
 さらに、学校施設の営繕事業として、良好な教育環境の確保及び長寿命化を図るため、校舎やトイレなどの営繕工事を効率的かつ計画的に進めます。
 社会教育については、人生100年時代に向けて、市民一人一人が、その生涯にわたり学習できる機会及び場所を提供し、誰一人取り残すことがないよう学習参加・意欲向上のための事業を展開します。
 青少年の健全育成については、近年増加している不登校やひきこもり、ニートやヤングケアラー等の支援を要する子ども、若者達とその家族に対しては、青少年相談センターにおいて支援・指導、関係機関との連携を行うなど、教育相談・指導体制の更なる充実を図ります。
 図書館運営については、中央図書館長寿命化工事を継続して実施するほか、トイレ及び床の改修工事も併せて行います。
 また、図書館のホームページ内に地域新聞記事の見出しを検索できる機能を新たに搭載します。
 文化財については、文化財保存活用地域計画の策定に着手するほか、世界遺産富士山の構成資産である国指定史跡「富士山」の各指定文化財において、本質的な価値の保護を図り、史跡を活用した地域振興を図るための整備に向けて、調査を実施します。
 国指定史跡「大鹿窪遺跡」については、史跡整備工事に着手します。
 また、本市の歴史、民俗等を次世代に継承し、市民の教養の向上に寄与することを目的とする「(仮称)富士宮市立郷土史博物館」については、現在策定中の基本構想を市議会の皆様に御説明します。
 市史編さんについては、資料調査及び執筆を進め、市制施行80周年に合わせて第1巻「自然環境編」を刊行します。
 市民文化会館については、耐震補強工事、長寿命化工事とともに、設備等の更新及び機能向上を目的とした環境改善工事を合わせて行うための耐震補強計画及びリニューアル工事実施設計に着手します。
 スポーツ振興については、全国規模のスポーツ大会やスポーツ合宿の誘致に努めるとともに、トップアスリートによる競技力向上のためのスポーツ教室の開催などで、「市民ひとり1スポーツ」を実践する機会につなげます。
 体育施設整備については、様々な競技において利用が多く、ナイター設備もある山宮ふじざくら球技場の人工芝グラウンド化改修工事を実施します。
 また、外神スポーツ広場については、屋外スポーツ施設の拠点として、夜間照明設置に向けた設計に着手してまいります。

 次に、(5) 富士山の魅力を発揮した快適なまちづくり(都市整備)であります。
 街路整備に関しては、都市計画道路田中青木線の整備について、引き続き事業用地の取得を進めます。
 市道整備については、岳南北部地区幹線道路の整備においてこれまでに取得した事業用地箇所の工事を進めるほか、特に老朽化の激しい陣馬の滝周辺の道路舗装整備を実施します。
 県道白糸富士宮線(上野バイパス)の整備については、一日も早い完成に向けて、県等の関係機関に要望してまいります。
 また、国道469号の整備促進につきましても、国道に隣接する市町と連携して、国・県等の関係機関へ強く要望していくほか、新たな主要幹線道路となる一般広域道路富士富士宮道路につきましても、本年1月に発足した一般広域道路富士富士宮道路建設促進期成同盟会の会長市として、早期事業化に向けて国・県等の関係機関への働きかけを行います。
 道路・橋りょうの安全確保については、計画的かつ予防的な対応を継続して実施してまいります。
 良好な景観の形成に関しては、無電柱化推進計画の推進区間の事業化に向け、引き続き関係機関との調整及び事前調査を行います。
 市街地治水対策では、老朽化した水門の計画的な更新を継続して実施します。
 都市公園に関しては、山本高原地区への都市公園新設に向けた事業用地の取得を進めるほか、富士山さくらの園の園地舗装や遊具設置を行うなど、誰もが安全・安心で快適に利用できる魅力ある公園づくりに、引き続き力を注いでまいります。
美しい花いっぱいの町づくり事業については、地域の花壇づくりへの支援を継続するとともに、多くの方が訪れる商店街地区や静岡県富士山世界遺産センター周辺について、花いっぱいによる彩りと安らぎの空間づくりを継続します。
 また、生物多様性保全対策としては、小田貫湿原の湿原環境を保全していくため、植物及び地質・水象調査結果に基づき、今後の湿原乾燥化防止対策についての検討を進めてまいります。

 次に、(6) 豊かなコミュニティを持つ安全・安心なまちづくり(市民生活)であります。
 防災に対する取組については、大規模地震に起因する「電気火災」の発生を抑制する感震ブレーカーの設置に対する補助を継続します。
 また、災害に対応した都市づくりを推進するため、災害のリスク情報や都市の現状を整理し、都市構造上抱える防災面での課題を把握する調査を実施します。
 さらに、建築物の耐震化対策として、県と連携して耐震補強工事などへの助成を行うTOUKAI-0事業を推進します。
 消防については、消防施設の改修や車両の更新を進め、消防力の充実強化を図ります。
 防犯体制の強化としましては、子どもを守るため、中学校への防犯カメラ設置を進めます。
 さらに、通学路に防犯カメラを設置する自治会への補助金交付を継続するとともに、新たに毎月20日を(仮称)「子ども安全の日」に制定し、安全・安心なまちづくりを推進します。
 また、犯罪被害者やその御家族が、社会から孤立することなく、再び平穏な生活を営むことができるよう、「富士宮市犯罪被害者等支援条例」を制定し、犯罪に遭われた方々を支援してまいります。
 平和への取組では、被爆地である広島市への中学生派遣を実施するほか、市制施行80周年記念事業として、世界平和を目的とした国際的な子どものアートプロジェクト「キッズゲルニカ」に参加するための作品づくりを児童生徒に呼び掛けます。
 住宅・住環境への取組については、市営万野住宅Ⅾ棟の建設工事を進めるほか、長寿命化工事として、市営富士見ヶ丘住宅の受水槽改修工事を実施します。
 さらに、空き家の管理・活用として、民間のノウハウを生かした空き家等実態調査を行います。
 また、建ぺい率等の緩和については、第一種低層住居専用地域土地利用現況調査の結果に基づき、対象地域での説明会を開催し、住民の意見を踏まえ、都市計画変更の手続に着手します。
 そのほか、安心して長く暮らせる居住環境を確保するため、大規模土地造成地基礎調査にも着手します。
 コミュニティ活動については、富士根地区の交流センター整備に向けて、引き続き事業用地の取得を進め、取得後の造成工事を目指します。
 消費生活については、消費者意識の高揚を図るため、第2次消費者教育推進計画の策定に着手いたします。

 最後に、(7) 市民と一緒に取り組むまちづくり(市民参加・行財政)であります。
 まずは、地方創生についてであります。
 男女の出会いや交流の場の創出を目的に、民間事業者と連携し、若者の結婚に向けた前向きな機運の醸成を図ります。
 具体的には、市内の豊かな自然資源を活用した婚活事業を開催するほか、新たに夫婦都市の近江八幡市と連携したイベントを開催します。
 さらに、結婚を希望する人への支援として、県と県内市町で共同運営する「出会いサポートセンター」が提供するマッチングアプリの利用促進や広域の出会い交流イベントの周知を図ります。
 社会全体で支える子育ての推進については、子育て世代の社会参画を支援するとともに、子育てに対して前向きな意識の醸成を図るため、妊娠期から子育て期にわたる切れ目のないサポートとして、講座や居場所づくりを実施します。
 また、コンビニを中心としたふじのみやベビーステーションの充実及び認知拡大に向けた取組として、機能を充実させたポータルサイトの構築を行います。
 少子化対策については、男女共同参画の視点も取り入れる中で、富士・富士宮地区の企業が活気に溢れ、かつ、若者が集まるようなアイディアを提案するワークショップを富士市と共同して開催します。
 男女共同参画の取組では、性別に関わりなく個性や能力が尊重され、誰もが自分らしく生きることができる社会を目指すため、ジェンダー平等や性的マイノリティに関する啓発を行います。
 総合的かつ計画的なまちづくりの推進については、市街化調整区域で選定した2地区において、地域づくりモデル事業を実施し、地域課題の解決に取り組みます。
 ふじのみや寄附金における取組では、官民連携による地域課題の解決と地方創生のより一層の推進に向けて、企業版ふるさと納税制度の積極的な活用を図ります。
 広聴広報については、市のホームページが読む人にとって分かりやすいものとなるよう、レイアウトや文章の見直しを行うとともに、「やさしい日本語」を使った表示に変換できる「伝えるウェブ」システムを導入します。
 行政のデジタル化、自治体DX推進については、市民課と収納課窓口における住民票及び戸籍並びに税証明手数料について、クレジットカードなどによるキャッシュレス決済を導入し、市民サービスの向上を図ります。
 さらに、各種行政手続についても、オンライン化を推進し、可能なものからオンライン手続でのキャッシュレス決済導入の準備を始めるほか、音声認識技術を利用して音声を自動でテキスト化するシステムを導入し、議事録作成などの行政事務の効率化を図ります。
 最後に、財政運営についてであります。
 本市では、これまで、積極性と健全性が両立したメリハリのある財政運営に努めるとともに、将来負担に配慮した独自の財政規律を設定し、持続可能な財政運営の確立を目指して取り組んできた結果、財政の健全性を示す指標である“実質赤字比率”、“連結実質赤字比率”、“実質公債費比率”、“将来負担比率”は全て適正な水準を維持しています。
 また、財政調整基金についても、令和3年度は、新型コロナウイルス対策関連事業の財源や当初予算編成での財源調整のために約15億円を取り崩しましたが、決算剰余金等からの積立や各種交付金の活用により、令和3年度末現在の積立金残高は約59億円となり、前年度末の水準以上の積み戻しができております。
 令和4年度は、第5次富士宮市総合計画後期基本計画の初年度となることから、前期基本計画の進捗状況を踏まえつつ、更に大きく飛躍する年とするため、本市が目指す将来都市像の実現に向けた様々な事業を積極的に推進していかなければなりません。
 今後の財政運営については、急速な少子高齢化の進行や人口減少への対応、公共施設等の老朽化対策など課題はありますが、今後とも、財政の健全性に配慮しつつ、事務事業の見直しにより経常的経費の増加を最小限に抑え、限られた財源を効率的かつ効果的に活用していくとともに、中長期的な視野に立った財政運営を行ってまいります。
 そして、職員一人一人がコロナ禍で激変する社会経済情勢をしっかり捉える中で、第5次富士宮市総合計画に基づく3つの重点取組及び7つの基本目標に沿って、事業執行に取り組むものとします。

4 おわりに

 市長という仕事は、常にスピードとタイミングと結果が求められます。そして、将来の姿を描きつつ、その種をまく人という使命もあると感じています。
 諸葛孔明が自分の子を戒めた手紙の中に「寧静致遠(ねいせいちえん)」という言葉があります。
 “丁寧に、静かに、穏やかに、一歩一歩真心を尽くしていけば、遠大な事業も達成できる”という意味です。
 市民の皆様が郷土に対して自信と誇りをもち、未来に希望をもてる理想のまちをつくり上げていくことは、一朝一夕にはできません。だからこそ、先人に感謝の念を持ち、日々の一歩一歩の丁寧な積み重ねが大事だと思っております。

 また、本年は、干支で言えば壬寅((みずのえとら)の年であります。
 壬寅には、冬の寒さが厳しいほど、春の芽吹きは生命力に溢れ、華々しく生まれる年になるという意味があると言われています。まさに、令和4年度は、厳しいコロナ禍にあっても新しい時代へ着実な歩みが期待される年であります。

 この2年間、厳しいコロナ禍において予定していたイベントや大会の多くが中止又は延期となり、市民の皆様や職員は実に不完全燃焼な思いであろうと感じております。
 私は、平成23年の市長就任以来、様々な事業に対して積極的に取り組み、多くの成果を生むことができました。
 しかしながら、このコロナ禍において、私自身も不完全燃焼な思いを強く感じていることから、“このまま中途半端では終われない”、“これまでにやり残したことを成し遂げる”、このことが私に与えられた天命であると感じております。

 市制施行80周年を迎え、輝かしい未来に向かって更なる発展を遂げるため、夢のあるまちづくり、市民が心豊かに暮らせるまちづくりをこれからも進めていかなければなりません。
 健康長寿世界一の静岡県では、高齢になっても元気で活躍できる社会を目指して、66歳から76歳までを「壮年熟期」としています。
 「壮年熟期」とは、経験を積み、様々なことに熟達し、社会で元気に活躍する世代のことです。
 私も「壮年熟期」を迎え、これまでの経験を踏まえ、そして謙虚な姿勢で物事を見つめながら、富士山のあるまちの市長として、自ら先頭に立ち、市民の皆様とともに力強く市政運営に邁進してまいりたいと考えております。

 終わりに、市民の皆様、そして議員各位の御理解と御支援をお願い申し上げ、令和4年度の施政方針といたします。

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お問い合わせ

企画部 企画戦略課 企画調整係

〒418-8601 静岡県富士宮市弓沢町150番地(市役所3階)

電話番号: 0544-22-1113

ファクス: 0544-22-1206

メール : kikaku@city.fujinomiya.lg.jp

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